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いまでも「スジ」はあるのだろうか?

もう、時効になったと思われるので、書いてしまおう。

むかし、厩舎(うまや)ことは゛に「スジ」というものがあった(いまも、ことばとしては残っているだろう?)。

むかしは、ほとんどの騎手が厩舎に所属していたので、たとえば、

A騎手はX厩舎所属だけれど、Y調教師の娘婿(むかしは、こういうケースが多くあった)。
B騎手は、X厩舎で、A騎手の弟分。
あるレースで、A騎手は義理の親であるY厩舎の馬で出走、B騎手が自分の所属するX厩舎の馬で出走する場合、どんなに人気になろうとも、この騎手(馬)同士の1、2着の組み合わせは来ない。

厩舎同士の師弟関係、厩舎と騎手の師弟・姻戚関係、騎手同士の師弟関係・・・・など、こういう人脈を、うまやことばで「スジ」と言った。
「スジ」とは、いわゆる「濃い人脈」ともいうべきもので、こういう関係にある馬同士の1、2着はほとんどない(あっても、年に1、2回)。
というものである。

なぜか。
馬主(およびその関係者)が、馬券を買っているからだ。
「スジ同士では1、2着しない」という暗黙の約束をつくっておけば、自分の馬が勝負をかけるとき、「スジ」に当たる馬券は買わなくてもいいから、点数が減る。
「スジ」が、人気であればあるほど、自信をもって切ることができるのだから、いい仕組みである。

なぜそんなことが可能なのか。
「スジ」とは、「表に出ない、秘密の、太い、情報ルート」だからだ。
Y厩舎の馬が勝負をかけ、A騎手が乗ることになると、その情報は、たちどころにB騎手やX調教師が知るところとなる(水曜日、木曜日の追い切りの後とか・・・・)。
BやXは、レースでは黙って4着以下で走ることになる。
馬券を買う側は、安心してこの組み合わせを切ることができるというわけである。
そういうことが、暗黙の了解のうちに、いろいろな騎手同士、厩舎同士、騎手と厩舎どうしで行われていた。
これは、うまやの関係者は、誰もが知っていたことである。
われわれも、この仕組みを大いに利用させてもらった。
(ある、うまや育ちで、著名な競馬評論家は、こんなことは当然知っているはずなのに、おくびにも出さずに、のうのうと予想を発表していた)

現在は、ほとんどの騎手が、厩舎に所属することなく、フリーになっている。
請われて、いろいろな厩舎の馬に、どんどん乗るようになった。
厩舎の方にも、純粋のうまや育ちで、古い体質を知っている人が調教師になるというケースも少なくなった。
むかしながらの、「スジ」を成り立たせていた古い(どろどろした)人間関係はなくなっている。
だから、「スジ」などというものは、いまは存在しないだろう(と思う)。

こうした「スジ」のことは、40年も前に、私の競馬の師匠から教わった話である。
師匠は、地方競馬(南関東)に詳しくて、「うまやの体質は同じはずだから、地方競馬にあるものは、中央競馬にもかならずあるはず」と、「スジ」のほかにもさまざまな「競馬の裏セオリー」を持ち込んで、それがことごとく的を射ていた。

師匠は、40年前に、すでに「番組表」にも着目していた。
「おれたちは出走表を見て予想しているけれど、馬主は『番組表』を見て馬を出走させている」と、一般には手に入らない「番組表」を馬主から手に入れて、プリントしてわれわれに配ってくれたものだ。
いま、「番組表」はJRAのHPから誰でも入手できる(しかし、入手できるのは「競馬スケジュール」の部分であって、細かいレースの出走条件や賞金の規定など、いちばん重要と思われる部分は削除されている。やはり、出したくないところは出したくないんだな)

たとえば、いま、武兄弟、藤岡兄弟、吉田兄弟が同じレースに出走してきて、1、2着するケースは、年にどれくらいの確率であるのだろう。
そのほかの、向こうの人たちの「濃い人間関係」で、どのように1、2着するか、調べてみると面白いかもしれない(たぶん、徒労に終わるのだろうな)。

今週は、「中山牝馬ステークス」が大荒れになりそうな予感。



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